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イランの戦略的な辞任

March 14, 2019 2:01 pm Published by

2019年3月4日 | GORDON LAFORGE 外相の動きにより、ロウハーニー大統領勢力が強硬派に対する影響力を強める 先週、長年イラン外務大臣としての役割を務めてきたモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ氏がInstagramで辞任を発表した。同氏はイランの核開発計画を抑制するための共同包括行動計画(JCPOA)の主たる支持者であり、欧州や米国とのより広範な関わりを続けてきたことから、常に強硬派のターゲットとなっていた。そして、先週の月曜テヘランで行われたロウハーニー大統領とシリア大統領バッシャール・アル=アサド大統領との会合から除外されたことが我慢の限界となったようだ。 複数の有力なイランの政治家はザリーフ外相に対し政府に残るよう促し、ロウハーニー大統領は辞任を拒否している。現在、この動きは改革派による強硬派に対するザリーフ外相の重要性を強調するための統合した戦術的なクーデターと考えられている。Predataのシグナルはペルシア語でのロウハーニー大統領とザリーフ外相に対するデジタルでの興味の増加を示しているが、同時に改革派の複数の有力人物の注目も高まっていることが分かる。 対照的に政府の強硬派に関連するオンライン活動は減少しており、ザリーフの辞任と撤回を経た後もそれは変わっていない。 また、ザリーフの動きはイランの核交渉に関する注目を再度集めるものとなっている。デジタルの分野で核交渉の注目が増加し、改革派がより影響力を持つようになっている事実は、ロウハーニー大統領とその勢力のJCPOAに対する存在感が強硬派よりも大きくなっていることを示唆するものである。

今週のブレグジット

March 1, 2019 4:47 pm Published by

2019年2月26日 |  ERIC FALCON 2つのグラフでチェック 3月29日の英国のEU離脱を控え、ブレグジットへの注目はさらに高まっている。労働党は公式に二回目の国民投票を訴え、テレサ・メイ首相はクーパー元雇用・年金担当相とレットウィン元内閣府担当相による、交渉の主導権を議会が握りリスボン条約第50条の遅延を求める修正案への急速な対応を迫られている。期限が刻一刻と近づくにつれ、オンラインでは次のような反応があった。 1. ハードブレグジットの結果が現実味を増す 過去2週間にわたり、北アイルランド国境へのオンラインの関心は後退したものの英国の航空部門への関心が急上昇している。すでに 報道した通り、北アイルランド問題はその重要性と象徴的な性質により、ブレグジットの方針決定において際立った位置を占めていた。 しかしこれはもはや過去のことであり、ノーディールの場合のブレグジットにおけるより現実的な懸念が浮かび上がっている(例:3月30日のヒースローからマドリッドへのフライトはキャンセルされるのか?など)。 2. 日本からの注目がさらに高まる 今月、日本の自動車会社である 日産 と ホンダ は英国での自動車製造の停止と工場の閉鎖を発表した。両社はこの決定とブレグジットとの関連を否定し、「世界的に不利な経済状況」を理由とした。しかし日本のオンラインユーザーは納得しなかったようで、工場閉鎖のニュースは日本におけるブレグジットへの興味を最高レベルにまで引き上げた。しかし日産とホンダにとっては悪いニュースばかりではない。最近締結された日本とEU間の自由貿易協定 により、両社は関税なしで欧州に自動車を輸出できるようになる。

カシミール襲撃

February 21, 2019 4:36 pm Published by

2019年2月19日 | GORDON LAFORGE 世界有数の軍事地域での死傷者を出した自爆テロにより、核武装するライバル国間の緊張状態が危険水域まで上昇する危険。 先週の木曜緊張状態にあるインドのカシミールにおいて、パキスタンのジャイシュ=エ=ムハンマド過激派集団の自爆テロが発生。爆発物を装填した車がインドの準軍事部隊に衝突し、カシミールの過去30年でも史上最悪の42人が死亡するという結果となった。 攻撃を受け、Predataのセキュリティ部門ではインドとパキスタンの両方のシグナルが過去数年で最高レベルを記録した。このシグナルは国家安全保障インフラおよび各国の問題に関連するウェブページやソーシャルメディアフィードの収集に対するアクティビティを測定するものである。 攻撃に対するデジタルの反応の大きさは、核武装する二国間の危険な緊張の高まりを示している。2016年末の警備員への過激攻撃においてもシグナルは急上昇したものの、先週木曜の爆撃と比較した場合レベルは低いものであった。これまでのところ、今回の爆撃はインドの暴徒によるカシミール住民への攻撃、そして9人の死者を出したインド兵とカシミールの分離独立勢力の間の銃撃戦を引き起こしている。また、それと同時にシグナルは高まり続けている。 5月に総選挙を控え、国家安全保障を強調するヒンズー教の国家主義者であるナレンドラ・モディ大統領は、テロの責任者を罰することを誓い、怒りによりインド人を結集させようとしている。デジタル分野での強い反応は同大統領の二期目の選挙にプラスとなると考えられるが、南アジア、そして潜在的に世界にとってますます危険な状況を反映するものとなっている。

核兵器が交渉の場に

February 13, 2019 2:54 pm Published by

2019年2月12日 | GORDON LAFORGE 二度目のサミットの開催が近づくにつれ、非核化が再度議論の的となる 先週末、2月27日~28日にベトナムのハノイで開催されるトランプ大統領と金正恩委員長の第二回サミットに向け、米国当局者は平壌とソウルで議論を行った。昨年注目の的となった歴史的会談以来北朝鮮政府は全く核兵器廃絶へと進んでいないようであるが、この問題に関する国際的な報道は多くはなかった。 朝鮮半島における非核化の問題は今回の首脳会談で再度注目を浴びることとなった。Predataのシグナルによれば、朝鮮半島の核兵器に関する関心が急速に高まっている。以下のグラフから分かるように、北朝鮮の大量破壊兵器および韓国での核兵器取得の可能性に関するハングルでのオンライン検索が増加している。 2017~2018年の北朝鮮による軍事威嚇および兵器実験に関するウェブページでのアクティビティは特に高くなっており、韓国のネチズンにとって昨年の危機は未だに記憶に新しいものであることが分かる。 韓国が核兵器に興味を持っている理由を分析するのは簡単なことではない。過去に韓国人に対し自国が核兵器を取得することの意味についてオンライン調査を行ったところ、米国のソウルに対する安全保障が疑わしい時期にはこのシグナルが急上昇していた。しかし、今回のシグナルの高まりは第二回米北朝鮮首脳会談により、挑戦半島の非核化が進められるかどうかに対する関心の高まりを示しているのみということも考えられる。 いずれにせよ、ホワイトハウスの動きにより北朝鮮の核計画の問題に再度注目が集まっているのは確かだ。同時に、トランプ大統領が実際に非核化への具体的な約束を引き出すかどうかは別の問題である。

中国にのしかかる負債の問題

February 13, 2019 2:49 pm Published by

2019年1月24日 |  SANA CHERUKURI 10年間にわたる無制限の融資が与える影響 王岐山国家副主席が昨日のダボス会議での演説で中国の景気低迷に対する懸念を軽視した発言をしたことから、中国の債務水準に関するデジタルの関心は過去3ヶ月で最高水準に急上昇した。このシグナルは中国の国債に対する世界的な関心によるものであると同時に、中国語話者のオンラインユーザーの中国の国債、債券、債券の評価、ならびに公的債務と他国の債務との比較レベルについての懸念が原因となっていると考えられる。 他の政府や中央銀行と比較した場合、北京は金融政策の制定にかなりの支配力を持っているものの、中国の債務レベルは過去7年間で4倍 となっており、1990年代以降そのような規模の債務拡大による危機を回避した新興経済は存在しない。不良債権は2018年末に正式に最高水準に達している。政府はこれが全体の2%にすぎないと主張しているものの、外部団体の見積もり によれば実際の指標は24%と見られている。 北京は平静を装っているものの、貿易戦争の結果として中国の産業は痛手を負っており、Appleの収益の低減からも明らかなように、国内消費の減速はその氷山の一角にすぎない。社債の債務不履行が急増している状況に関わらず、これまでの修正といえば、中央銀行が今月初めに銀行の準備金に必要な現金の額を減少させ、さらに多くの信用を注入するものであった。しかし他の信用サイクルと同様、負債の注入は収益を減少させるものであり、資本の非生産的な使用による経済の衰退が予測される。現状の持続が不可能になるのは時間の問題であろう。

市場

February 12, 2019 9:31 am Published by

2019年2月04日 | SANA CHERUKURI 著 2週間連続で、日本銀行に対する世界のオンラインの関心度が大幅に上昇した。日銀は、インフレを目標の2%にむけて誘導するため、今後も超金融緩和策を維持すると示唆した。今週、賃金の上昇を示す厚生労働省のデータに疑問が投げかけられたことから、その目標達成は懐疑的となった。再計算により、2018年には実質賃金が実際に低下したことが判明すると予想されている。以下のシグナルが示すように、これが発覚したことにより、日本国内および海外のインターネットユーザーは、日銀の金融政策の要石である資産買い入れプログラムをより厳しく監視するようになっている。この関心度の急上昇は、投資家の間で安倍晋三政権の経済政策の効果を疑問視する動きが広がっていることを反映しているのかもしれない。

新年が明けても言い分に変わりなし

February 12, 2019 9:30 am Published by

2019年2月04日 | GORDON LAFORGE著 中国の知的財産の盗難や強制的な技術譲渡は、貿易協定の合意期限が迫る中、際立った問題となっている。 今日、中国は豚年の始まりとなる春節を迎え、1週間の休暇が始まる。だが貿易交渉にほとんど休みはない。トランプ政権が中国製品に対する関税を課し始めるのを止めるための合意に達する期限が3月1日と迫っており、もはや交渉期間が1カ月未満しか残っていないからだ。交渉の進捗状況についてホワイトハウスが発した声明にはばらつきがある。トランプ大統領は先週、合意に達する見込みについて楽観視していたが、交渉の責任者たちは具体的な進歩がほとんどなされていないと報告した。先週、Predataの米中貿易戦争指標が上昇し、オンラインのオブザーバーが交渉における軋轢を感じ取っていることを示した。 このシグナルの原動力となる主な要因は、1974年制定米通商法301条に関連する中国語のウェブページでのアクティビティである。これは、外国政府が国際的貿易慣行に違反するか米国の通商に不公平な不利をもたらした場合に、幅広い報復措置を発動する権限を大統領に付与する条項である。ホワイトハウスは、米国の知的財産の盗難や強制的な技術譲渡がそのような違反行為にあたると主張しており、この交渉における米国の要求事項の一つは、中国がそのような慣行を止めるというものである。 中国がそれに同意する可能性はほとんどない。また、中国貿易ウォッチャーの間でこの問題に対する注目度が高まっていることは、この交渉が問題解決に至らないという予想が高いことを反映している。これは、手厳しい貿易戦争の再開が近い将来に差し迫っていることを意味しているのかもしれない。

イスラエルとイランは戦争に向かっているのか?

February 5, 2019 10:32 am Published by

2019年1月29日 | GORDON LAFORGE著 オンラインアクティビティは、シリアにおいて地域に対する意味合いを持つ平行で展開される紛争に関する懸念が上昇していることを示している。 報道によれば先週、イスラエル軍はダマスカスにおけるイラン勢力の標的に対する攻撃を行い、同軍はシリア内のイラン部隊に対する攻撃を継続した。一部のアナリストは、イスラエル軍の攻撃は、シリアを舞台とするもの、より幅広い地域紛争へと拡大する可能性があることから、テヘランとエルサレムの間での並行戦争へとエスカレートする危険性について警告を発した。 デジタル領域からの指標は、そのような懸念に実体があることを示している。第一に、イスラエルに居住すると思われるヘブライ語のインターネットユーザーは、イランの国防態勢と軍事力に関するウェブページに対しより高い関心度を示している。これは、イスラエル人が (1) イランの脅威についてこれまで以上に心配していること、もしくは (2) イスラム共和国に対するイスラエル政府の作戦を注視していることを意味している。その動機が何であれ、アクティビティの上昇は、緊張が高まっているという考えを支持するものである。 さらに、イランが支援しレバノンを拠点とする武装組織ヒズボラについてのデジタル領域での懸念が先週、急上昇した。ヒズボラの指導者ハサン・ナスラッラーは3時間に及ぶテレビのインタビューで、シリアの紛争に引き続き関与するイスラエルに対し脅迫を発した。同氏の好戦的な発言は共感をよび、英語とアラビア語の両方で、ヒズボラに関連するオンラインアクティビティが過去半年程の間で最も上昇するきっかけとなった。 これらのシグナルは、イスラエルとイランの間での治安情勢が以前にも増して緊迫していることを示唆している。シリアが依然として主な火種であることに変わりはないが、大衆のオンラインアクティビティにおけるトレンドは、周辺地域へと紛争が発展する可能性に対する懸念が強まっていることを示している。

不動のマドゥロ

February 5, 2019 10:29 am Published by

2019年1月22日 | GORDON LAFORGE著 ベネズエラの独裁者は長く権力を保持したかもしれないが、大衆の圧力は再び勢力を高めている。 1月10日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は二期目となる5年間の任期に就任した。昨年秋に勝利した選挙は野党がボイコットしたため、その結果はごく一部の国々を除き承認されていない。南米および中米諸国 (およびカナダ) によって構成される多国籍グループ「リマ・グループ」は、就任式を目前に制裁を科し、これまで以上に痛烈にマドゥロ氏を批判した上で、同政権の正当性を認めないことを明らかにした。 経済が破綻し、治安部隊の一部が反乱し、世界各国が壊滅的制裁を科す中、マドゥロ氏は意外にもなかなか説得に応じようとしていない。だが圧力は上昇している。以下のシグナルが示すように、マドゥロ政権に関連するオンラインアクティビティはここ半年ほどで最高レベルに達しており、同政権に対する視線が高まっていることが分かる。 さらに抗議行動や騒動 (言い換えれば暴動) を予測するPredataのシグナルは過去1週間に、これまで何カ月間で最高のレベルに達した。 昨日、カラカスの大統領宮殿近くの貧困地区では、そこに配備されていた国家警備隊抗議が反逆すると、抗議活動が発生した。反逆は武装部隊により鎮圧され、抗議者は追い払われた。野党勢力の指導者として大衆の支持を受けている国会議長のフアン・グアイド氏は、マドゥロ氏から権力を奪う可能性に言及し、1月23日に街頭で抗議するよう人々に呼びかけた。Predataの高いシグナルレベルは、人々がその呼びかけに応じるであろうことを示唆している。

ブラジルの大豆と中国の貿易

February 1, 2019 2:43 pm Published by

2019年1月9日 | SANA CHERUKURI 著 ブラジルの大豆の収穫高は予測を下回ったが、現地の価格上昇につながらない可能性がある ブラジルにおける大豆の大豊作は、2018年の長い間にわたって中国に恩恵をもたらした。というのも、習近平が米国との貿易戦争で強硬姿勢を維持する上では、昨年の大豆の記録的豊作により輸入元をブラジルに切り替えることができ、それが後ろ盾となったからである。しかし、2019年の収穫が進む中、ブラジルの最近の干ばつは懸念要因となっている。Predataのブラジルの干ばつに関するデジタル指標は急上昇しており、収穫高が以前の予想レベルには達しない可能性があることを示唆している。 とはいうものの、収穫高が予想を下回り、全般的な世界の大豆市場の価格高騰に貢献するとしても、それがブラジルの輸出価格の上昇には反映されない可能性がある。米国産大豆に対するブラジル産大豆のプレミアムは、貿易戦争が一次的な休戦状態に入ったことから大幅に減り、トランプ政権は年末の損失を受けて、株式市場を強化するため、貿易協定に対しより前向きになっているようだ。英語および中国語のソースでの貿易戦争をめぐる懸念に関するPredataのシグナルレベルは低い。歴史的には、世間の注目度が低いほど、外交的な妥協の可能性がより高くなる可能性がある。 今週末に予定される地域の収穫状況に関する報告を市場が待つ間、デジタル領域でのブラジル最大の大豆生産業者Amaggiに対する関心は、確かにこれらの懸念に応じて急上昇した。米国政府機関の閉鎖により、農務省による公式のレポートの公表が無期限に先延ばしされていることから、これらの報告は、この季節のその他の外的データとともに特に重要になるだろう。