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年頭の緒言

February 1, 2019 2:28 pm Published by

2019年1月9日 | PREDATAスタッフ 新年を迎えるにあたり、Predataは、2018年のトレンドの調査に基づいて、2019年に追跡すべき最も重要な事柄をご紹介する。 休戦にもかかわらず、米中貿易戦争は継続する見込み エスカレートする米中貿易戦争に対する懸念は2018年、米国経済を付いて回る問題となった。G20に出席中の12月1日に首脳会談で合意された一次的な休戦により、トランプ大統領と習主席は3月1日までに新たな合意に達することになった。緊張が緩和した現在、米国代表者団は北京で対面交渉にあたっている。  Predataでは、国内の貿易政策、貿易保護措置および継続する貿易戦争で中核的な役割を担う主要人物やテーマに関する英語と中国語のウェブページからのメタデータをトラッキングしている。貿易のオブザーバーがこれらのページにアクセスすると、問題の深刻化に対する彼らの未発言の懸念内容が明らかになる。下のグラフが示すように、Predataは2018年に、これらのページでのアクティビティが活発になったのは、緊迫化が進んだ期間や否定的な措置が講じられた時のみであることを発見した。報道価値があるものの否定的ではないその他の発展は、このシグナルの有意な上昇にはつながらなかった。そのため、休戦の発表により多くの人が安堵のため息をついたが、実際にインターネットでは、激化の特徴に類似する反応が認められた。休戦状態が維持されると観察者たちが見込んでいたならば、このシグナルは低レベルのままになっていたであろう。 デジタル領域でのこの反応は、両国が3月までに合意に達するという期待とは裏腹に、先行きは暗いことを示している。少なくともインターネットでは、この貿易戦争が継続すると考えられているようだ。  インターネットは米国株式市場の大きな変動が継続すると予想 2018年、米国の株式市場にはすさまじい勢いで乱高下が戻ってきたが、市場観察者のオンラインのアクティビティはしばしば、激しい売りによる相場の急落を予示していた。下のグラフが示すように、ダウ指数の予期しない下落は、過去の株式市場の大暴落と乱高下イベントに関連するウェブページへの関心度の急上昇のパターンと一致していた。  このシグナルの大幅な上昇は、相対的な市場不安定状態の期間に認められたものであり、その理由はともあれ、インターネットユーザーは、その閲覧パターンを見る限り、差し迫る市場の下降の可能性に対する懸念をより明確に表明していたと言えそうだ。しかし、ダウ指数は乱高下を複数回繰り返したにもかかわらず、10月以来このシグナルは比較的低いレベルにとどまっていた。これは、その体制がシフトしており、オンラインの観察者の間では、2019年を迎えるにあたって株式市場の乱高下が新たな常態となっている可能性があることを示している。 ブレグジットの展望:3つの要素 Predataのブレグジットシグナルは、英国のEU離脱交渉をめぐる特定の論点の特徴や、さまざまな派閥が発信するメッセージに対する共感度をモニタリングしている。ここで、2018年から得られた一部の知見と、この先見込むことができる展開について紹介しよう。  在留推進派を過小評価すべきではない。 2018年は、声高な離脱派が報道の見出しや論評ページを支配することが多かったが、強硬的な在留派も活発であり、ソーシャルメディアやコラボラティブメディアでも高レベルの関心を集めていた。彼らの努力が2回目の国民投票につながらないとしても、政治勢力として彼らは強い存在力を誇るため、1月15日の投票では、テリーザ・メイ首相が提示する離脱協定案が彼女を両側から包囲する議会によって否決される可能性がある。 欧州の人々も注目。 下のグラフが示すように、欧州のインターネットユーザーは、以前にも増してブレグジットを注視するようになってきている。これは、テリーザ・メイ首相に対しEUがより柔軟な姿勢をとる用意があるかについて、2つのシナリオのいずれかが該当する可能性があることを意味している。1) 注目度が高まる中、EU加盟国政府が英国に対し譲歩する可能性はより低くなる。または 2) 欧州各国は合意なしブレグジットの可能性とそれがもたらす影響を認識し、それらについて懸念するようになる可能性がある。 北アイルランドの国境をめぐる問題はなくならない。 この件についてのオンラインアクティビティの測定によると、北アイルランドの国境問題は依然としてブレグジットをめぐる議論で最も重要な問題点である。EUの懸念は、北アイルランドの開かれた国境が英国の国内市場への裏口となる可能性があるという点である。離脱推進派もこの裏口のことを懸念しているが、彼らにとっての主な懸念点は、英国がEUの規制制度から抜け出せなくなるという点である。その結果、国境は依然としてブレグジットの展開に最も敏感な政策課題となっている。この件に対する関心度の顕著な高まりは、英国政府の交渉における不利な出来事に付随する傾向があった。 プーチンは牽制を目指すが、ロシア・ウクライナ間の緊張関係は緊迫化 2018年は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領にとって不安な出来事がいくつもある年だった。退職年齢を引き上げる試みは大規模デモのきっかけとなり、クレムリン支持派の候補者数人が地方選挙で落選するほか、プーチン氏の支持率も2014年以来最低の水準に下がったが、これは部分的には、継続的な景気低迷によるものである。一部の解説者は、昨年末のアゾフ海でのロシアによるウクライナ海軍船の拿捕は、国内の支持率上昇を狙った試みだったと推測した。 ... View Article

不確かな状況

December 19, 2018 4:44 pm Published by

2018年12月10日 | GORDON LAFORGE著 在韓米軍に関する法案をめぐる意見相違が韓国をいらだたせている 核開発計画を破棄する兆候をまったく示さない北朝鮮との交渉再開を米国が模索する中、韓国における米軍駐屯の費用をめぐる韓国との緊迫感の上昇が、事をさらに複雑化する可能性がある。 28,500人におよぶ米兵の韓国駐留をめぐる5年間の合意である韓米防衛費分担金特別協定が、12月31日に失効する。先週、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、在韓米軍の駐留費をより多く負担するよう求めたホワイトハウスの要求に韓国政府が応じず、次期の合意に向けての交渉が難航していると報じた。現在の合意では、韓国は米国に対し年間8億3,000ドルを支払っているが、これは駐留費のほぼ半分に値する。 米国民は中国、ブレグジット、ロバート・モラー特別検察官の調査などのその他の問題に気を取られているが、韓国人にとっては、在韓米軍の駐留費用負担をめぐる意見不一致が主な関心事となっている。韓国人の間での反米感情を反映するPredataのシグナルは急上昇してきている。 韓国に駐留する米軍の扱いを規定する米韓相互防衛条約第4条に基づく在韓米軍地位協定に関連する韓国語のウェブページで異常に高レベルのアクティビティが確認されていることが、このシグナル急上昇の主な推進要因となっている。これは、トランプ大統領によるより高額な負担の要求により、韓国人が、在韓米軍の根源的理由を深く考え直していることを示唆する兆候である。 これらのオンラインアクティビティのパターンが在韓米軍に対する反感の煽りを表している場合、それにより、朝鮮半島に関する交渉が展開する中で、米国は生産的な外交パートナーであることを文在寅大統領が韓国国民に納得させるのがより困難になる可能性がある。

実質を伴わない停戦

December 18, 2018 6:04 pm Published by

2018年12月04日 | GORDON LAFORGE著 中国語のウェブ閲覧パターンは、トランプ大統領と習主席の間で繰り広げられた貿易戦争の緊張緩和は長続きしないことを示唆している。 ドナルド・トランプ大統領と習近平主席がブエノスアイレスで開催されたG20サミットの片隅で面会し、貿易戦争のエスカレートに歯止めをかけることで合意すると、市場は安堵のため息をついた。しかしPredataのシグナルは、この一時的な停戦が実際の貿易協定につながることを疑わせる根拠を示している。 第一に、トランプ大統領の国家通商会議トップであるピーター・ナヴァロとロバート・ライトハイザー通商代表に関する中国語のオンラインの関心は急激に高まった。これらのシグナルは、貿易戦争が本格化して以来上昇しており、通商関係で困難な時期には急上昇する傾向がある。これら2人の通商代表者に対する関心の急上昇は、中国語のオンラインの観察者が、この停戦状態によって貿易戦争が食い止められることに対し懐疑的であることを示している。 第二に、トランプ・習会談について米国側は、中国が、中国の経済政策、知的財産の保護、強制的な技術移転といった異論の多い問題点について協議を行うことに同意したと述べている。しかし中国側は、そのような議題への言及はなかったと主張している。Predataのシグナルでは、中国語のオンラインでのこれらの問題点に関する注目度が高まらなかったことが示されている。これは、米国と中国の交渉者の話し合いがかみ合っておらず、交渉の初期的な枠組みについてさえ同意できていないことを示すさらなる兆候である。 貿易戦争緩和のニュースが伝わると株価指数は上昇した。しかし連邦準備銀行は、報復的なやりとりがエスカレートすると米国経済の成長を脅かすことになると警告している。この停戦状態が合意につながらない場合、市場の高揚感は長続きしないと予測すべきであろう。

反撃に出る「洗車」作戦

December 11, 2018 3:34 pm Published by

2018年12月04日 | GORDON LAFORGE著 ジャイール・ボルソナーロ政権は腐敗に本気で対処するか? ブラジルのセルジオ・モロ次期法相。 ブラジルの最要職を目指す候補者なら誰もがそうだが、ジャイール・ボルソナーロ次期大統領は、自身の選挙活動で、世論調査会社に対し有権者がこの国の最重要課題であると指摘する腐敗を撲滅することを誓った。問題は、実際にその誓いを実行に移す意思がボルソナーロ氏にあるかどうかだ。結論を出すにはまだ時期尚早だが、現在時点では、次期政権が注目度の高い犯罪者を処罰するだけでなく、場合によっては体系的改革を遂行するための措置も講じるという兆しがある。   4年にもわたり長々と続き、ブラジルの最も強力な政治家や大物実業家を打ち倒した汚職捜査「洗車(ラヴァ・ジャット)作戦」は、10月の大統領選挙以来、轟音とともに戻ってきた。先週、検察はジルマ・ルセフ元大統領とフェルナンド・コロール元大統領の両者を起訴した。すなわち、過去5年間にブラジルの大統領を務めた3人のうち2人が起訴されたことになる。その後まもなく、連邦警察は、リオデジャネイロ州知事を逮捕した。 Predataのシグナルでは、ブラジル市民の間では、今後数日間から数週間にかけて、調査官らが他の政府関係者を対象とする可能性が高いと見込んでいることが示唆されている。シグナルは、洗車作戦の調査で既につかまったり、標的になる可能性が高い政治家に対するブラジル人の関心をとらえている。このシグナルは、11月下旬に告発と逮捕がなされる直前に急上昇し、現在では今年の最高レベルに達している。 また、洗車作戦の捜査官の後ろ盾となっているのは、捜査を監督した凄腕の連邦地裁のセルジオ・モロ判事が、次期の法相に任命される予定であることだ。ボルソナーロ次期大統領の主な政治的ライバルであるルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領を汚職罪で投獄したのはモロ氏であるため、一見問題がありそうに見受けられるが、この指名は洗車作戦にとって幸先が良い話だ。同判事は本件を扱うタスクフォースに対しトップレベルの保護を提供するからである。 しかし、ブラジルの経済的および政治的ガバナンスの将来にとってより重要な質問は、新政権が切実に求められている腐敗防止の改革を実施するかどうかにかかっている。報道されるほど大物の逮捕がなされたものの、腐敗は根強く残っており、この国の手に負えない政治全体に浸透する特徴となっている。 しかし、Predataのシグナルは、一般市民は、新政権が改革の遂行に向けて手段を講じるという高い期待を抱いていることを示唆している。休止状態が何ヶ月も続いていたが、大統領選の直後、そしてモロ氏が次期法相に就任するというニュースが報じられた直後、ブラジルの検察によって提案された汚職防止法に関連するポルトガル語のウェブページでのアクティビティは著しく活発になった。 汚職防止法案を可決させるのは困難で、多くの議員を危険にさらすであろう。しかし、このシグナルのアクティビティは、ブラジルにおけるオンラインの一般市民が、新政権が重要な汚職防止政策を実施するという期待を抱いていることを示している可能性がある。