反撃に出る「洗車」作戦
2018年12月04日 | GORDON LAFORGE著
ジャイール・ボルソナーロ政権は腐敗に本気で対処するか?
ブラジルのセルジオ・モロ次期法相。
ブラジルの最要職を目指す候補者なら誰もがそうだが、ジャイール・ボルソナーロ次期大統領は、自身の選挙活動で、世論調査会社に対し有権者がこの国の最重要課題であると指摘する腐敗を撲滅することを誓った。問題は、実際にその誓いを実行に移す意思がボルソナーロ氏にあるかどうかだ。結論を出すにはまだ時期尚早だが、現在時点では、次期政権が注目度の高い犯罪者を処罰するだけでなく、場合によっては体系的改革を遂行するための措置も講じるという兆しがある。
4年にもわたり長々と続き、ブラジルの最も強力な政治家や大物実業家を打ち倒した汚職捜査「洗車(ラヴァ・ジャット)作戦」は、10月の大統領選挙以来、轟音とともに戻ってきた。先週、検察はジルマ・ルセフ元大統領とフェルナンド・コロール元大統領の両者を起訴した。すなわち、過去5年間にブラジルの大統領を務めた3人のうち2人が起訴されたことになる。その後まもなく、連邦警察は、リオデジャネイロ州知事を逮捕した。
Predataのシグナルでは、ブラジル市民の間では、今後数日間から数週間にかけて、調査官らが他の政府関係者を対象とする可能性が高いと見込んでいることが示唆されている。シグナルは、洗車作戦の調査で既につかまったり、標的になる可能性が高い政治家に対するブラジル人の関心をとらえている。このシグナルは、11月下旬に告発と逮捕がなされる直前に急上昇し、現在では今年の最高レベルに達している。
また、洗車作戦の捜査官の後ろ盾となっているのは、捜査を監督した凄腕の連邦地裁のセルジオ・モロ判事が、次期の法相に任命される予定であることだ。ボルソナーロ次期大統領の主な政治的ライバルであるルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領を汚職罪で投獄したのはモロ氏であるため、一見問題がありそうに見受けられるが、この指名は洗車作戦にとって幸先が良い話だ。同判事は本件を扱うタスクフォースに対しトップレベルの保護を提供するからである。
しかし、ブラジルの経済的および政治的ガバナンスの将来にとってより重要な質問は、新政権が切実に求められている腐敗防止の改革を実施するかどうかにかかっている。報道されるほど大物の逮捕がなされたものの、腐敗は根強く残っており、この国の手に負えない政治全体に浸透する特徴となっている。
しかし、Predataのシグナルは、一般市民は、新政権が改革の遂行に向けて手段を講じるという高い期待を抱いていることを示唆している。休止状態が何ヶ月も続いていたが、大統領選の直後、そしてモロ氏が次期法相に就任するというニュースが報じられた直後、ブラジルの検察によって提案された汚職防止法に関連するポルトガル語のウェブページでのアクティビティは著しく活発になった。
汚職防止法案を可決させるのは困難で、多くの議員を危険にさらすであろう。しかし、このシグナルのアクティビティは、ブラジルにおけるオンラインの一般市民が、新政権が重要な汚職防止政策を実施するという期待を抱いていることを示している可能性がある。