アラブの春2.0?

2019年4月15日 |  GORDON LAFORGE

アルジェリアとスーダンでの歴史的な変革も、大きなムーブメントの原動力とはならない

先週スーダンでは大規模な抗議活動を受け、世界でも有数の在任期間を誇っていた独裁者オマル・アル=バシールが失脚した。その数週間前、アルジェリアでは社会不安を原動として82歳の大統領アブデルアジズ・ブーテフリカが自身の5選目を争う大統領選挙を辞退している。2人の強権的な独裁者が去ったことで複数の国際的な報道機関はこれをアラブの春と比較していたが、特定の国のオンラインアクティビティを計測するPredataの国別シグナルは 別の結果を示している。データによれば上記の出来事はスーダンとアルジェリアにとって大きな変化をもたらすものであることは確かであるが、アラブの春のような大規模な市民行動を引き起こすものではないことを示唆している。

スーダンのバシール失脚のニュースにより、スーダンに関連するオンラインアクティビティは急上昇を見せた。デジタル界でこのようにスーダンに関心が寄せられたのは、南スーダンが独立国となった2011年以来である。現在シグナルは下降を辿っており、インターネットの関心が移行していることを示している。

同様にアルジェリア関連のオンラインアクティビティも先月の路上での抗議活動以来急上昇し、これは2013年のアルカイダと関係を持つ過激派がガス施設を押収し、数十名の外国人およびアルジェリア人の人質を殺害した事件以来の高水準であった。シグナルが示すとおり、アルジェリア関連のオンラインアクティビティはベースラインの水準に戻っている。

スーダンとアルジェリアに関するデジタルの反応はどちらも高水準であったが、同様にどちらも過去の事件と比較できる水準であった。しかし2010年後半~2011年前半のアラブの春の場合、Predataのチュニジア、エジプト、シリア関連のシグナルはかつてない水準で高いものとなっていた。

さらにデジタル指標によれば、スーダンとアルジェリアにおける情勢が地域運動に繋がる可能性は低いと考えられる。その他の北アフリカ・アラブ国家のシグナルは反応を示していない。エジプトではアクティビティの兆候はなく、モロッコのリフ地域での社会運動も地域的なものに留まっている。チュニジアでは経済的困難を理由としたオンラインアクティビティが高まっているものの、国全体での抗議活動に波及するとは考えにくい。

オンラインアクティビティは確かに増加しているが、スーダンとアルジェリアの状況は地域的なものに留まり、アラブの春のような運動を引き起こす可能性は低いと考えられる。